読了証印 星を継ぐもの

暑くなると、思考が狂うのか嗜好の逆を行って世界を逆転させようという行動が現れているのかは判らないが、やりたい事をやらず、関係無い事をやりたくなるんだよなー。って、あれコレもしかして現実逃避か。



ということで、流れからしハイペリオンの続編を読むべきだったのだが何故か他の本に取り憑いていた。

読んだ本  「星を継ぐもの」  ジェイムズ・P・ホーガン
これまたシリーズ物で、全4冊らしい。以下感想。

月面調査中、謎の宇宙服を纏った、謎の死体が発見される。何処の国にも所属していないこの死体君は、調べてみると死後5万年は経過している事が判った。一体何時、何処からやってきたのかー。というお話。

中心に大きな謎があり、外堀の謎が解けては又謎が浮かび上がり、と。謎というより寧ろ現状の解法の矛盾と言った方が正確で、それらを新たなる解法で解消し〜以下反復、で、話が進むというスタイルがメイン。道中、世情とかいった状況は終始全く変わらず、問題である謎にまつわる視点、矛盾に対する人の反応の描写が、主な話の構成要素なせいで、スケールは大きいんだけど論理の上での展開の動きしか実際に無いので個人=学識の種差位にしか描かれてなくて、生理的な反応や事の好悪等の、人間的な個性の書き込みが少なく、その分個人への感情移入が無かった。そんな訳で人物、人格の描写は結構大雑把。一応推理モノだけど大衆映画的。まあ軽くて面白いという事でもあるので良し悪しは読み手の構え方に依るか。種の根源等深い話題をやっている割に精神の負担要素が全く無いのは良かった。(さばさばした科学者しか前面に出ないからかもしれないが

そもそも人類が切羽詰っていて何かを背負っている訳でもなく、何かしらの状況に追われている訳では無いので(戦争等も完全に無くなっている)何らかの人間の熱、熱に対する反応が薄いんだよなあ。身を滅ぼすような情熱や圧し潰される様な焦燥等の、間違いや行動を起す人間的起因が。その点引っかかって、新しい学説、未知の文明、人種の痕跡、手がかりの発見をして、学者達が嬉々として騒いでいる様が白けて見える瞬間があった。話の熱が無いとでもいうか。クーラーかけるほど暑くも無く、バナナで釘が打てるほど寒くも無い。超平熱36℃の世界。

ただ気になるのは主人公の学者が要所要所でそーいった情熱の向ける先を求めている様な素振りをちょこっと見せている所。続編でそういった展開があるとしたら、私は見事に嵌められたという事になるのですが、果たしてどうなるやら。