えーせーへー!

あー鬱々と連なる作業の山の下に盆が埋もれておる。助けなければっ。と、後先構わず世界を脱し飛び込んで懐かしの町、友の袂へと戻った、がー。そこは地を揺るがす憤怒の咆哮が累と積もり転じて嫌悪になり果てた絶世界。赤みを失ったマグマから罵倒の呪詛が噴出し、その言の葉を遣り過ごす為に膿み出された敵意と、その敵意からまたも吹き出る罵詈雑言で飽く事無く塗り固められた二つの異様なる九龍城がそびえ建つ。ここは中心に非武装地帯を据え、互いの前線と前哨を巡らせ敵の出方を伺いつつ寝首をかくべく虎視眈々と、且つ臆病に息を潜める餓鬼どもの無間地獄。



右手と左手がそれぞれに包丁を握っているのをみて私は頭で居るのを止めた。楽しみを紡ぐ右手も歓びを奏でる左手も今は無く、宵闇が訪れるのを独り黙し、ただ待っている。