サプライズ。

先週末の話。



高校時代の友人の兄上がどこぞの家庭料理の店を開いたとの事で彼方此方に声をかけて襲撃。うまいもんぐわぜろぉー、安く。

美食とは無縁の蛮族どもで5席あるテーブル総てが一気に埋まってしまい、御夫婦二人で切盛りする店である事もあって大忙しの様相だ。そこで私は料理には疎いながらも気を使い、一度に数名分作れる(であろう)シチューなんかを注文をしましょうか、と提言。それを受けてご主人が「ならロールキャベツはどうですか。ウチのお勧めなんですよ。」と仰られたので、迷う事無く「じゃあそれで。」(ロールキャベツはシチューなのかという問いは伏せておいた)

見知った顔と知らぬ顔が一堂に介す。よく知った顔を通して知らぬ顔と知り合えるのは他人との距離を保つ事で無用なストレスを避ける現代人の処世術が身に染みた我らには貴重な機会。しょーもない仕事の失敗話から学生時代を知らない人への暴露話で大いに盛り上がりをみせ、次第にテーブル毎の密な会話へと移行。食前酒のお陰もあってか(私は飲めないが)感じの良い空気が出来上がってきた所、タイミング良く料理が運ばれてきた。

良い匂いだなあ。湯気を伴う肉の香りって普段はむせ返る様にきつくも感じる事もあるんだけど、これは何かしらのハーブが効いているのだろうか。薫る湯気の中に一筋の甘い香りがあって食欲をそそられる。場の空気もあってか、小学校の給食の様に音頭を取って、一斉に「いただきまーす!」

おいしいねー、これいけるよー。等々、賛辞が飛び交う。確かに美味いなあ、美味しいよ。
美味しいけど・・・。

「あの、ボクのロールキャベツ、肉が入ってないんですけど。」

次の瞬間、この日一番の盛り上がりをみせた。